コラム
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9月号(文化の違い②)

14.文化の違い②

 

ヨーロッパ人の部屋は、家具・調度品は高級なものを取り揃え、配置にも気を使っている。

壁には絵が掛けられ、テーブルの上に花は欠かせないものとなっている。

日本人はどうだろう。突然友人の家に行って、「どうぞ!」と部屋に案内されることは珍しい。「散らかしているから近くの喫茶店で」ということになる。自分達の部屋は、他人の価値とは無縁になっている。本来、部屋に居る時間が長ければ長いほど、部屋は綺麗に整頓して「気持ちがいい空間」にした方が合理的だ。

昔、私の実家はよく来客があった。商売をしていたせいだと思う。子供の頃、来客は楽しみだった。たまに客から小遣いがもらえたからだ。特に正月は年始の挨拶が結構多く、家の中に客を招くと、兄弟競ってお茶を出す。お年玉が用意されているからだ。

現在、どこの家も、自宅に客がくることはほとんどなくなっている。だから、客間という特別な部屋はない。

さて、フランスの骨董市に行くと、中世に貴族が使っていたアンティ-ク食器が数多く売り出されている。ワイングラス、銅器、銀製のナイフ・フォーク、陶磁器いずれもかなり高級なものばかり。

日本の商人は、「早飯、早糞」を身につけないと、間に合わない人間として出世できなかった。商人だけでなく、一般家庭でも食事に時間をかけるほど生活にゆとりがなかった。

欧州でも生活にゆとりがあるわけではなかったが、食事の時間が何より大事だという価値観は習慣として根付いている。だからこそ、食器には今でもこだわりを持つ。

100円ショップで売っているプラスチック製のスプーンや皿は、彼らにとってはあり得ない代物だ。

「お揃いの茶碗にされる俺と猫」

フランスで、何万円もするワイングラスを買って帰国した人の大半が、高級な食器棚の一番上に飾りもののようにして置いている家庭をよく見る。一番上に置くと地震で割れやすいので、高級なものほど下に置くことが合理的だが、それは他人の価値観が優先しているからだと思われる。フランスでは高級な食器はその日のうちに使い、飾るためだけの食器はそもそも購入しない。

フランスとイタリア北部の料理は似ている。これには歴史的理由があるが(注)、バター・チーズをよく食し、肉食中心の文化なのに肥満の人はあまり見かけない。

(注)1553年、イタリアのメディチ家から、フランスのアンリ二世に嫁いだ王女(カトリーヌ・ド・メディシス)がフォークを持ち込んだ。当時のフランスは、手づかみで食べていたからだ。手づかみでパスタを食べるのは品が悪いと王女から拒否され、王は貴族にフォークを薦めたが、それでもフランスの貴族の間でフォークはなかなか浸透しなかった。

日本では奈良時代まではスプーン(匙・さじ)を一般的に使っていたが、仏教が庶民に浸透する平安時代中期になると、中国から箸の文化が伝わり、食事で匙を使うことは少なくなっていった。

それでも匙は、薬の調合にはなくてはならないもので、「匙加減」といわれるように、現在でも調剤薬局で使われている。しばらく前まで、医者が患者を見放すときに「匙を投げる」というような使われ方をした。

 

彼女の本の説明によると、地勢条件が関係しているらしく、日本の「長崎」や「尾道市」のようにフランスには坂が多く、毎日階段を上り下りすることで運動量が半端ではなく、食べたカロリーは日常生活ですべて消費されるからだと説明されている。丘の上に形成された中世以降の街は、車社会の到来を想定していない。

「幼い頃から慣れているので大丈夫!」とガイドさんは言った。

中世ヨーロッパはレンガ造りの家が多い。地震がなかったからだろう。又、200年前のアパートが今でも使われている。日本なら100年前の建物を賃貸アパートにしていることはまずない。

石段は角が擦り減って丸みを帯びている。建物に限らず、ヨーロッパ人は物を大切にする。

教会を中心に街づくりされているので、街は放射線状に延びており、碁盤の目にはなっていない。街の外延部は放射線状に延びた道路をつなぐようにして環状道路になっており、この環状道路が「自動車専用高速道路」で、ドイツではアウトバ-ン、イタリアではアウストラーダと呼ばれている。

最初の話(先月号)に戻ろう。

体温計の測り方は、日本では脇の下が一般的だが世界標準ではない。

アメリカ文化圏(オーストラリア・ニュージーランド・カナダ)では口が一般的で、ヨーロッパは直腸(肛門)が一般的。医者に風邪でいくと、最初に検査するのが体温。

脇の下で測る場合は、シャツの下から体温計を脇に挟むだけで、何も面倒なことはない。

気をつけなければならないのは、アメリカでは華氏を使うので、当然95度を超える。36.だと華氏は、

36.℃×/5+32=97.7度Fだから、一瞬びっくりする。

肛門の場合は覚悟がいる。測定は、排便後でないと正確に測れない。北欧で一般的な肛門で測る体温計は、先が柔らかく先端に潤滑油を塗布するので肛門を傷つけることはない。無論、この体温計は口でも尻でも両方使える。

両方使えるから問題なのだ。

日本では、赤ちゃんが動き回るから肛門測定が一般的だが、大人は脇測定が一般的だから有り難い。ヨーロッパのように肛門測定が一般的だと、気楽に診療所に行けなくなる。

だから、医療費削減のために、政府は「肛門測定を義務付ける法案」を提案すべきだ。おそらく、医師会の反対にあって握りつぶされるだろう。

正確に測るためには、肛門が一番正確と思われがちだが、口や耳で測る体温計自体が、脇で測る水銀体温計より精度が低いと言われている。同じ計測器で測れば、脇測定は肛門や口より一度位低いようだ。

「脇が甘い」というのは、別の話で、誤解しないでほしい。

アメリカは世界一裕福な国だ。軍事力も並外れて強大だ。だから、戦後のアメリカ政府は諸外国に対し横柄な態度で臨むようになった。

しかし、彼らは口には出さないが、国王がいなく歴史が浅いことに劣等感を感じている。この劣等感は意識だけでなく、肌で直に感じてもらいたい。

その為には、体温計を口ではなく、肛門で測るように義務付ければ、多少自尊心が傷つくはずだが?

 

中山恭三(なかやま きょうぞう)/不動産鑑定士。1946年生まれ。
1976年に㈱総合鑑定調査設立。 現在は㈱総合鑑定調査 相談役。
著書に、不動産にまつわる短編『不思議な話』(文芸社)を2018年2月に出版した。

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